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Cat 建機 研究所

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建機活用術

2016年12月12日

コスト低減への道:足回り部品のコスト低減編

今回は、足回り部品のコストを低減するポイントをこ紹介します。

足回り部品費

足回り部品費足回り部品は、人間にとっての靴に相当する部品です。人間の1日あたりの平均歩数を調べてみると一番多い職業は保育士で6,950歩、それに対し在宅勤務者の歩数はその半分以下の2,930歩ともっとも少なくなっています。"よく歩く人"もいれば、"あまり歩かない人"もいるのと同様に、建設機械においても"走行作業の多い機械"もいれば"走行作業の少ない機械"もあります。

たとえば、"走行の多い機械"は、押土や整地作業といった足を基本とする作業を行うブルドーザです。つまり足がしっかりしていなければ作業効率が悪くなると共に機械の安定性も悪くなります。
そのため、取扱説明書記載の通り、ブルドーザのトラック(履帯、足回り)は250時間または1ヵ月ごとの点検と定められています。

一般的にブルドーザでは機械の生涯において発生する"修理&メンテナンスコスト"の約50%を足回り部品の費用(部品代金、工賃)が占めると言われています。これは適切なメンテナンスおよび処置が行われていた場合であり、ほったらかしにしていた場合、その費用はさらに増大します。つまり、足回り部品のコスト低減を図ることが機械全体でのコスト低減の重要なポイントとなります。

足回り部品費低減のためのポイント

今回は足回り部品費低減のポイントについてMOA(M:メンテナンス、O:オペレーティング、A:アプリケーション)を構成する3つのステージ毎にご紹介します。

M適切なメンテナンスの実施

足回り部品の使用寿命を最長化し、最低のランニングコストとするためには、適切なメンテナンスの実施が必須となります。これは、"走行作業の少ない機械"の代表格である油圧ショベルにおいても同様です。
油圧ショベルは、その場での旋回作業が多く、あまり足を使わないので足回り部品の点検は、"不定期の整備"となっています。ここでは、日常点検の際に確認すべき「足回りの張り具合」について油圧ショベルでの点検を例とし、ご紹介します。

M-1点検:張り具合を確かめる!

点検:袈OR合を陵かめる1(1)アイドラからキャリアローラまで届く角材をトラックの上に置く。
(2)トラックシューラグと角材の間隔が40~45mmであればOK。
※この範囲を外れていた場合、早急な調整が必要となる

M-2調整:トラックの張りを調整する!

調整:トラックの張りを調整する!トラックを張る場合
(1)フィルバルブ(A)を清掃し、グリースを注入します。
(2)徐々にトラックが張るので、正しい寸法になるようにグリースを注入。
(3)左右のトラックの張りを均等にするため、機械を前後進させる。
(4)その後、もう一度角材を置き、張り具合を確認。

トラックを緩める場合
(1)ボックスレンチを使い、アジャスタのリリーフバルブ(B)を最大1回転ゆっくりと緩めてグリースを逃がし、適正に張りを調整。
※圧力のかかったグリースが飛び出す場合があるので顔を近づけないこと
(2)リリーフバルブを取扱説明書に記載されているトルクで締め付ける。
(320E:34±5N/m)

適正なトラックの張りは機械の稼働現場によって異なります。弊社特約販売店では、お客様の足回り部品を点検・計測し現状診断を行い、足回り寿命延長のための適切なアドバイスを提供するサービスプログラム「CTS:カスタムトラックサービス」をご用意しています。無料のサービスプログラムですので、お気軽にご用命ください。

O適切なオペレーティングの推奨

取扱説明書に記載されている通り、建設機械それぞれに適したオペレーティング(運転操作方法)があります。
これは各建設機械の構造に基づく違いであり、これらを満たすことにより足回り部品の寿命の延長を図るとともに、安全作業を徹底することができます。
ここでは、特に遵守したいブルドーザと油圧ショベルのオペレーティング方法の一例をご紹介します。

ブルドーザ オペレーティングのポイント ブルドーザオペレーティングのポイント
ブルドーザは構造上、車輌の後進側に重心があります。そのため、前進側に比べ後進側の方が足回り部品に大きな負荷が掛かり摩耗が早く進行します。後進側での足回り部品にかかる負荷の抑制は寿命延長において重要なポイントです。

取扱説明書記載の通り、降坂作業時に作業装置を前にすることは、足回り部品に対する負荷を軽減させるだけでなく、車輌転倒を防ぐこともできます。

油圧ショベル オペレーティングのポイント 油圧ショベルオペレーティングのポイント
油圧ショベルでは、走行の際はアイドラがキャブ前方に向く姿勢で行う必要があります。この姿勢での作業は、もっとも足回り部品への負荷を低くするとともに安全に基づいた作業となります。

走行しない作業の場合でも、トラックを横にした状態やスプロケットを前方にした掘削作業を行わないなど、安全を遵守した作業の徹底が足回り部品の寿命延長のポイントとなります。

Aアプリケーションへの適切なマッチング

CATの足回り部品は、お客様の作業環境・用途に合わせ、さまざまなラインナップを準備しています。

すべての足回り部品は厳しい商品規格のもと、高い品質・性能で製造されていますが、"適材適所"という言葉があるように、アプリケーションに適合した足回り部品が選定されていなかった場合、本来の性能を発揮することができません。
CATではお客様のすべてのアプリケーションに適合できるよう、たとえばトラックシューだけでも11種類以上のラインナップを用意しています。

ここでは、お客様のアプリケーションにマッチした足回り部品の選定により、従来の約2倍の寿命を達成した例をご紹介します。
足回り部品の選定につきましてご不明な点がありましたら、お気軽に担当セールスまでお問い合わせください。

System Oneの使用例System Oneの使用例
テスト機種:中型ブルドーザ
お客様職種:廃棄物処分場
比較アイテム:密封潤滑式足回り
System One足回り

従来型とSystem Oneの寿命比較

従来型とSystem Oneの寿命比較

最後に...

足回り部品のコスト低減を実現するには、適切なMOAの実施が必須です。これらの3要素のうち1つでも抜けると、CAT純正足回り部品の本来の性能を発揮することができなくなってしまいます。
弊社特約販売店には、CTS(カスタムトラックサービス)やMOA診断を始めとしたCAT純正足回り部品の性能を最大限発揮し、最小のランニングコストを実現するための各種サービスプログラムを用意しています。
特にCTSは無料のサービスプログラムとなっていますので、ぜひ1度お試しください。

製品の買い替え、点検・修理など、お気軽にお問い合わせください!

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