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Cat 建機 研究所

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建機活用術

2016年6月30日

冬場のクーラントとバッテリの管理について

寒さが厳しい冬場は、機械に負担が掛かります。特に、エンジン冷却用のクーラント(冷却水)とバッテリには十分な注意が必要です。今回は、クーラントとバッテリの管理についてご説明します。

冬場のクーラント凍結の危険性

建設機械のエンジントラブルの約半数は冷却系統が原因といわれており、冷却水の適切な管理は機械寿命に大きく影響します。

クーラントに含まれている添加剤は、使っているうちに徐々に酸化・分解が進み、その効果が落ちていきます。濃度が薄かったり、長く使い続けて凍結を抑制する性能が低下したクーラントを冬場もそのまま使用していると、駐車中にクーラントが凍結し、体積が膨張して、エンジンのシリンダヘッドやラジエータコアなどクーラントが入っている部分の壁面を内部から圧迫しはじめます。そして、その圧迫に耐えられなくなった部品はやがて破損を起こします。

このため、特に寒冷地では、クーラントの適切な交換時期を守ることは、車両の安定稼働のために大変重要です。

クーラントの劣化に注意しましょう

冬場のクーラント凍結の危険性

シリンダライナ外側のクーラントと触れる場所でキャビテーションが発生した様子

クーラントの日常点検

クーラントの中に含まれている添加剤の効果は使っているうちに落ちていきます。
たとえば気泡の発生を抑える効果が低下すると、小さな気泡が発生して金属面に損傷を与える「キャビテーション」が発生しやすくなります。

クーラントの日常点検

始業前に冷却水の量が適切か確認してください。液量の点検は、必ずサブタンクで行いましょう。エンジン停止直後にラジエータキャップを開けて点検しようとすると、熱せられた冷却液が噴き出すことがあり、大変危険です。エンジンが十分に冷えた状態で確認し、液面がサブタンク側面にある上限ラインと下限ラインの間にあれば適正量です。

Vシフトローディング[推奨]

もし、水位が下がっていたら、クーラントと水道水を5:5に混ぜ合わせたものを補充してください。井戸水やミネラルウォーターは使わないでください。著しく減っているような場合は、冷却系に漏れなどのトラブルがある可能性があります。点検時に異常を感じたときは、お近くのキャタピラー販売店にお早めにご相談ください。

クーラントを詳細に分析するS・O・Sサービスも実施していますので、突然のトラブルのリスクを減らすためにぜひご活用ください。

冬場のバッテリトラブル

多くの車両には、エンジン始動モータや前照灯・作業灯だけでなく、キャブ内の照明やエアコンディショナ、コンピュータをはじめとした電子装置、ラジオ、GPSを使用した情報端末、後方監視カメラ、追加のライト、回転灯などさまざまな電装品が装着されており、それらに電力を供給するバッテリのパワーは大変重要です。

Vシフトローディング[推奨]

建設機械は稼働することでバッテリに充電し、その電気をエンジン始動モータなどのさまざまな電装品に供給します。

このとき、バッテリは化学反応によって電気を充電・放電しますが、この化学反応は気温の影響を受けやすく、気温が下がると化学反応が鈍ってバッテリのパワーが低下します。

Vシフトローディング[推奨]

また一方で、外気温が下がると、エンジンオイルが冷えて流動性が低下するため、エンジンを始動させるためにはその分大きなバッテリパワーが必要になります。このため、冬場はバッテリにとって負荷が大きく、バッテリが原因でエンジン始動不良を起こしやすくなります。

バッテリの日常点検

バッテリの日常点検では以下のポイントをチェックしましょう。

  • ・バッテリケースに亀裂が生じていないか
  • ・電解液が減っていたり、漏れたりしていないか
  • ・バッテリケーブルの皮膜がこすれて破れたりしていないか
  • ・ケーブルをつなぐ端子が欠けていないか
  • ・バッテリ本体の端子とケーブルの接合部が緩んでいないか

Vシフトローディング[推奨]

皮膜が破れたバッテリケーブル

寿命が近づいているバッテリは、気温が低いとエンジンの始動ができなくなる場合があります。ある朝、突然、エンジンが掛からない!そんなトラブルに見舞われないためにも、長期間使用しているバッテリは新しいものに交換することをお勧めします。

寒冷時のエンジン始動の注意点

エンジンがなかなか始動しない場合などは、スタータを回し続けるのではなく、約30秒間回した後は、バッテリの電圧回復とスタータの冷却のために3~5分間待つようにしましょう。

一般的に寒冷時はエンジンオイルの流動性が低下し、スタータの回転抵抗が増加します。

Vシフトローディング[推奨]



トラブルに見舞われた場合、またはご心配な方は、お近くのキャタピラー販売店にお早めにご相談ください。

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