Cat 建機 研究所

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建機活用術

2016年6月30日

排出ガス規制対応ディーゼルエンジン

2014年以降、いよいよ最終段階を迎えるディーゼルエンジンの排出ガス規制。今回は、エンジンメーカーとしても時代をリードしてきたCATの新たな環境対応テクノロジーや高性能オイルをご紹介します。

強化が進む排出ガス規制

● 初期の排出ガス規制からPM・NOxの規制値は格段に厳格化

地球環境を守ろうという世界的な潮流の中で、日本国内における排出ガスの規制も強化されており、乗用車やトラックといった自動車業界だけでなく、建設機械についても厳しい排出ガス規制が課せられていきます。

グラフはディーゼルエンジンの排出ガスに含まれるPM(粒子状物質)とNOx(窒素酸化物)の規制値の変遷です。グラフからおわかりのように、PMの規制値は0.2g/kW・hから現在では0.02g/kW・hまで削減されています。同様にNOxについても9.2g/kW・hから次期規制では0.4g/kW・hまで削減され、排出量は1991年に比べて96%も削減されることとなります。

このため、CAT油圧ショベルEシリーズをはじめとする最新の規制に適合した機械は、エンジン・排気ガス処理に最先端の技術が搭載されています。黒煙の減少は見ていただいただけでもおわかりいただけると思いますが、目には見えないNOxなどの排出量の削減も大幅に進んでいます。

Vシフトローディング[推奨]

PM:PM2.5などで知られる。2.5㎛以下の粒子のこと。呼吸器など健康被害を引き起こすと考えられている。

現在の規制は「オフロード法2011年基準」と呼ばれており、エンジン出力別に規制値や規制の開始時期が決まっています。規制の開始時期以降は、原則として規制に適合した機械のみが生産されます。今後生産される車両はすべて規制に適合した機械となる予定で、CATでは他社に先駆けてこの2011年基準に適合する機械をラインアップしてきました。

NOxの規制値

NOx:窒素酸化物の総称。強い酸化作用があり人体に害を及ぼす光化学スモッグや酸性雨を引き起こす要因の一つ。

排出ガス規制は2014年頃を目途にさらに厳しいものとなる予定です。CATではPM、NOxの排出量を大幅に減少させ、この厳しい規制値をクリアするための技術開発にすでに目途をつけており、備えています。

エンジンの構造

エンジンの構造

排出ガス規制に対応するための新しいエンジン技術をご紹介します。

人体に有害な排出ガスの成分であるNOxの低減対策として、「NRS (NOxリダクションシステム)」を採用しています。このシステムは、エンジンからの排気の一部を吸気側に戻し、コントロールした不完全燃焼により燃焼温度を低下させることで、NOxの排出量を低減します。
排気をシリンダ内に取り込むことからシリンダの磨耗や腐食を発生させる懸念がありましたが、超低硫黄ディーゼル燃料※1の普及によって排出ガス中のSOx(硫黄酸化物)低減が図られたため、耐腐食性が向上しています。

また、燃焼効率の向上によるPMの低減および低灰分・耐磨耗性向上ばかりか、機種によっては約10%の燃料消費量の低減を実現しています。

※1 2007年に硫黄含有量を10ppm以下に規制

軽油を使用する理由

軽油を使用する理由

ディーゼルエンジンに軽油を使用する理由は3つあります。

①始動性・燃焼性において優れている(セタン価が高い)
②油内に不純物が少なく、燃料として噴霧する場合に均等に噴霧することができる
③原油から精製した際に残留するアスファルトなど高沸点留分が少ない。

これらの理由のほかにも、近年の環境保護の観点から人体・地球環境に有害な硫黄酸化物・サルフェートなどを発生させないために、軽油はさらなる脱硫(硫黄分の除去)が進んでいます。

軽油を使用する理由

排出ガス規制対応エンジンはこれまでよりさらに精密かつ効率を重視して設計されており、排出ガスの低減と優れた燃費効率を実現しています。その性能はディーゼルエンジンに最適な軽油を燃料に使用しているからこそ発揮できるのです。

建設機械のパワーユニットとしてスタンダードとなりつつある排出ガス規制対応エンジンは、軽油と脱硫処理が十分にされているCATDEO-ULS(CJ-4)のようなエンジンオイルの組み合わせで初めて性能をフルに発揮し、同時に車両コンポーネントの寿命も延長することができます。

エンジンオイル

キャタピラーはこれまでエンジンの開発に合わせて、エンジンオイルも同時に開発してきました。

エンジン内燃焼室でピストンが稼働するために油膜を張るのがエンジンオイルの主な役割ですが、燃料が燃焼する際、微量のエンジンオイルも一緒に燃焼してしまいます。従来のエンジンオイルはこの際に添加剤に含まれる金属系の物質を排出ガス中に多量に含んで排気していましたが、DPF(フィルタ)にとってこの金属系物質は大敵で、目詰まりを引き起こす原因になります。

そこでキャタピラーは、エンジンオイル中の金属系物質を減らしてDPFの目詰まりを抑制する、排出ガス規制対応エンジン用の「CAT DEO-ULS(CJ-4)」を用意しています。

エンジンオイル

CAT DEO-ULS(CJ-4)を使用した車両コンポーネント内部。19,000時間後もスラッジはほとんど見られない。
(*取扱説明書通りにメンテナンスを実施した場合)

CAT DEO-ULS(CJ-4)は、粒子状物質の発生を抑制するだけでなく、エンジン内部の清浄分散性にも優れています。車両コンポーネント部品内のゴミなどを原因とするスラッジを防ぎ、エンジン内を新車時とほとんど変わらない状態に保つことができます。このほか、オイル消費量や燃料消費量についても従来のオイルに比べて高い生産性を実現しているというデータもあります。

CAT DEO-ULS(CJ-4)

CAT DEO-ULS(CJ-4)

CAT DEO-ULS(CJ-4)は、2014年の排出ガス規制対応エンジンを搭載している機械だけでなく、従来の機械にもご使用いただけます。エンジンオイル管理の視点から、使用オイルを統一したい場合には、ぜひCAT DEO-ULS(CJ-4)をご検討ください。
商品についてのお問い合わせは、お近くの販売店へご相談ください。

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